こんにちは。

「気仙沼」といえば、もっぱら海の幸を想像してしまう、建築工房零の環境事業部、阿部 梢です。

さて、今日は7月末に行ってきた、すてきなステキな気仙沼の取り組みをお伝えしたいと思います。



今回の目的地は、海の幸!

「リアスの森BPP(バイオマスパワープラント)」の見学です!

バイオマス!バイオマスといえば、零の「焚人」がオススメしている、
薪やペレットなどの木質燃料のこと。



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運営するのは「気仙沼地域エネルギー開発株式会社」。
アテンドは兵庫から「気仙沼に住みたい!」と移住を決めた、佐々木さんです。

 

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2011年3月11日に発生した東日本大震災により、甚大な被害を受けた宮城県気仙沼市。

同年10月に、気仙沼市震災復興計画を策定する際、エネルギーの自立が焦点となりました。

地域で生み出すことのできる自然エネルギーを用いることで、
気仙沼を復興させていこう。と考えました。

では自然エネルギーでも、『気仙沼らしいエネルギー』はなにか?と討論を重ねていったとき、

「山があるじゃないか」。

気仙沼地域エネルギー開発株式会社の高橋正樹社長は「太陽光」でも「風力」でもなく、
「木質バイオマスエネルギー」に行き着いたそうです。


気仙沼は面積の約70%が森林。

これを使わない手はない!ということで、


作られた工場が「リアスの森BPP(バイオマスパワープラント)」。

間伐材からつくられた木質チップを燃料とし、ガス化炉で発生させたガスで発電を行います。

その発電能力は、800kw/h!
一般家庭約1,600世帯分に相当する電気が充電できるそうです。


その過程で発生する排熱は、ホテルの湯沸かしや暖房などに利用されており、
余すところなく使い切ることができるため、
エネルギー効率が格段に上がっています。


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貯木場で製造され、工場に運び込まれた木質チップ。大量です。DSC06681

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どんどん燃焼室に送り込まれます。
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ガス化炉の設備を下から見上げた写真。

中は企業秘密です。蒸気がもくもくと立ち上がります。


「リアスの森BPP」は、日本にはほとんど例のない木質バイオマス燃料を使った
発電設備。


試行錯誤を重ねて、2014年3月から試運転を開始し、

そして2年後の
2016年3月に運転時間8,000時間を超えて、本格稼働へ移行しました。



気仙沼では、「木質バイオマスエネルギー」を核にすることによって、
地域循環型社会を実現しようとしています。

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間伐材は、薪としてストーブやボイラーの燃料利用に。

放置された未利用間伐材は、全国で年間約2,000万㎥あると言われています(推定値)。

「リアスの森BPP」では、年間約8,000tの消費ができます。


また、間伐(間引き)をすることで、土砂崩れなどが起きにくく、
洪水を防ぎ、土に浸透していく際に浄化された「おいしい水」になり、

それによってキレイなおいしい水が川を下り、海に入り。

森に人の手が入ることで、海にとってたくさんのいい影響があるのです。

だから「森は海の恋人」というのですね。

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(工場のおとなりには、お魚いちば。)



また間伐の人手として、気仙沼に住む山主さんたちが

個人林業家(自伐林家というそう)として活躍することで、

雇用にもつながる、民有林の保全にも手が入れられるというのです!

そのために、林業家育成にも力を入れます。

チェーンソー講習をはじめとして、「自伐林家」を増やすための

「森のアカデミー」という養成塾を開講しています。




さらにさらに、

間伐材を買い取る際は、半分を現金、もう半分を地域通貨「リネリア」で支払うのだそうです!

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気仙沼市内の商店など、約170店舗で使えます。


地域で生んだお金は、地域に落として、それをまた使って。ぐるぐる、血のように循環します。


震災によって多くを失った場所だからこそ、

血が張り巡らされていくような、命が続いていくような、

そんなまちづくり、人づくり、地域づくりができるのではないかなあと感じました。




さて、長々書いてしまいました。

なにはともあれ、
気仙沼のおいしいごはんを食べに、

気仙沼の気持ちのいい人に会いに、

この最先端でカッコいい、取り組みを肌身に感じに行きましょう。

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